永遠の3日遅れ あるいは「新刊ドコー?」

全文表示 | アマゾンの「10%ポイント還元」に異議 日本出版者協議会「要望書」を突き付ける : J-CASTニュース

目的は、再販制度を守るためだ。「著作物の普及という文化的、公共的、教育的役割を実現していくのに適しているとされ…全国どこでも同じ値段で知識や文化を伝播することが可能」だと、そのメリットを強調。例外的に大学生協再販制度の適用外だが、アマゾンのように業界の慣習を破って「値引き」を続ければ制度が崩壊し、「街の書店はますます苦境に陥る」と訴える。

再販制度そのものの是非はともかく、「全国どこでも同じ値段で知識や文化を伝播することが可能」などと、何をもっともらしいことを言っているのか。東京から遠い地方では、いまだに新刊を発売日に買えない。東京での発売日が金曜なら、九州では3日遅れの月曜日。「情報」が売り物ともいえる本が、このインターネットのご時世に3日も遅れて「文化を伝播」?そもそも田舎の書店には、探している本が見当たりませんが?

amazonなら、売れ筋だろうがロングテールの尻尾の先だろうが、田舎町まで1日遅れで届けてくれる。新刊が書店に無いとか、発売日が遅いとか、日本の書籍業界が何十年もの間ほったらかしにした問題を、amazonが解決してみせたわけだ。書店に限らず、地域からリアルな店舗が消えることは文化レベルの低下に繋がるので、私は可能な限り地元の店で買う。実際がんばっている書店はある。だが、永遠に変わらないかのような業界の態度にはがっかりする。

「街の書店はますます苦境に陥る」のは根本的に誰のせいか。昔から田舎に「文化を伝播」する役割を担ってきた小規模の書店は、売れ筋の本を問屋から回してもらえなかった。発注書を何枚書いてもスルー。そして忘れた頃、皆が買い終えてとうに旬が過ぎた頃に大量入荷。返本しようにも、すれば小規模店は問屋から本を回してもらえなくなるため、泣く泣く売れ残りを抱え込む。発注しても入荷されないから、問屋の倉庫まで直接本を探しに行ったりもする。そこに新刊の売れ筋があるわけではないが、他には品を揃える手段が無いからだ。書店を苦しめ、モチベーションを奪ってきたのは、旧態依然とした業界全体の仕組みではないのか?値引きのことでamazonを非難するより、自身の在り方を顧みる方が先ではないか。